HIV感染後の初期症状について
症状 | 発症率 |
---|---|
発熱 | 96% |
リンパ節の腫れ(首の腫れ) | 74% |
咽頭炎(のどの痛み) | 70% |
発疹 | 54% |
筋肉痛・関節痛 | 54% |
下痢 | 32% |
頭痛 | 32% |
吐き気・嘔吐 | 27% |
肝臓・脾臓の腫れ | 14% |
体重減少 | 13% |
口腔カンジダ(口内炎) | 12% |
神経症状 | 12% |
感染後2~4週間程で症状が現れる
HIVは感染後、すぐに初期症状が現れる訳ではありません。感染後、2~4週間程の潜伏期間を経て初期症状が現れます。初期症状としては、インフルエンザに感染した時と同じような症状が現れます。「高熱」「のどの痛み」「頭痛」「筋肉痛」といった症状が代表的な初期症状です。
また、必ずしも感染してから2~4週間で自覚症状が現れる訳ではありません。HIVは感染後、初期症状を自覚出来ない場合もあります。HIV感染後の初期症状は発熱や喉の痛み、筋肉痛といった症状のため、単なる風邪と誤解してしまう人も多く、症状が出ていてもHIVだと気づかない人もいるのです。そのため、エイズが発症してからHIVに感染してしまった事に気付く”いきなりエイズ”の人も少なくありません。
初期症状の代表的な症状はインフルエンザのような症状
- 高熱
- 喉の痛み・腫れ
- 物を飲み込むのがつらい
- 首周辺の腫れ
- 筋肉痛
HIVに感染してから最初に体に現れる症状は、「38~40度の高熱」「喉の痛み」「喉の腫れ」「首もとの腫れ」「筋肉痛」といったインフルエンザと似た症状です。特に発熱はHIV感染者の初期症状として高い確率で発症します。また、首のリンパ節の腫れや咽頭炎による喉の痛みや腫れも高い確率で発症します。
何らかの皮膚疾患を発症する人も多い
- 赤い丘疹(手、足、背中、胸等)
- 水ぶくれ(性器、お尻、唇等)
- 痒みを伴う赤疹(頭、顔)
HIVの初期症状はインフルエンザと似た症状が代表的ですが、それら以外にも皮膚疾患を発症する場合も多いです。HIV感染初期では「発疹」の発症率は54%です。感染初期に見られる発疹は主に「急性期皮疹」です。
急性期皮疹は、HIVに感染してから3~6週間程で表れます。5~10mmぐらいの赤く盛り上がった丘疹が出るのが特徴的です。この発疹は放置していても1~2週間程で消えてしまいます。
また、HIV感染によって免疫力が低下してくると、急性期皮疹以外に帯状疱疹(体幹を中心に左右どちらかに帯状に赤い発疹と水ぶくれが出来る)、単純ヘルペス(性器やお尻、唇などに小さな水ぶくれが出来る)、脂漏性皮膚炎(顔や頭に痒みを伴う赤い発疹が出来る)といった皮膚疾患を発症する場合があります。
感染初期(急性期)から無症候期に移行
感染初期 | 無症候期 | |
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期間 | 1~3カ月程 | 1~10年程 |
症状 | 発熱、喉の痛み、喉の腫れ、首の腫れ、筋肉痛・関節痛、発疹等 | 無し(免疫力低下により寝汗、下痢、体重減少、帯状疱疹、口腔カンジダ症等を発症する場合もあり) |
初期症状は数週間で消える
HIVに感染すると、「高熱」「喉の痛み」「喉の違和感」「首周辺の腫れ」「筋肉痛」といったインフルエンザと似た症状や「発疹」といった症状が見られますが、これらの初期症状は1~2週間程で消えてしまいます。そして、感染初期から無症候期へと移行するのです。
症状が全くない期間が数年続く
無症候期になると、症状は出ません。もちろん、症状が無いからと言ってHIVが体の中から消えてしまったわけではありません。体の中ではHIVが確実に増殖していきます。HIVは毎日100億個ぐらいの凄まじい勢いで増殖し、免疫にかかわるリンパ球を続々と破壊していきます。そのため、症状は全く出ないにも関わらず、HIVによりリンパ球が減少していくことで、免疫力がどんどん低下していくのです。
この無症状の無症候期の長さは個人差があります。1~2年と短い場合もあれば、10年も続く場合もあります。
免疫力の低下による症状に注意
- 酷い寝汗
- 長く続く下痢
- 急激な体重減少
- 帯状疱疹
- 口腔カンジダ症
無症候期は基本的に症状はありません。しかし、この期間はHIVの働きにより、確実に免疫力が低下していきます。そのため、免疫力の低下によって、「寝汗」「下痢」「体重減少」「帯状疱疹」「口腔カンジダ症」といった症状が見られる場合があります。寝汗はシーツがビショビショになるほどの酷い寝汗であったり、下痢が長期間にわたり続いたり、理由もなく急激に体重が減少したり、普段では見られないような症状が出てくるのが特徴的です。
無症候期からエイズ発症期へ移行
長い期間を経てエイズを発症させる
HIVは感染後、感染初期を経て、数年から10年以上にも及ぶ無症候期を経てエイズを発症させる事になります。早ければ感染後1~2年程でエイズを発症させる場合もありますが、長ければ10年程の長い期間を経てエイズを発症させる事になります。
AIDS診断の指標疾患
真菌症 | 原虫症 | 細菌感染症 |
---|---|---|
カンジダ症、クリプトコッカス症、コクシジオイデス症、ヒストジオイデス症、ヒストプラズマ症、ニューモシスティス肺炎 | トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、イソスポラ症 | サルモネラ菌血症、活動性結核、非結核性抗酸菌症 |
ウイルス感染症 | 腫瘍 | その他 |
サイトメガロウイルス感染症、単純ヘルペス感染症、進行性多巣性白質脳症 | カポジ肉腫、原発性脳リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、浸潤性子宮頸癌/td> | 反復性肺炎、リンパ性間質性肺炎、HIV脳症、HIV消耗性症候群 |
上記は厚生労働省がエイズ診断基準の疾患として指定したものです。全てで23の疾患が指定されています。この23の疾患の内、いずれかを発病させた場合、無症候期からエイズ発症期に移行した、エイズを発症させたと診断される事になります。