男性の頻尿の原因
頻尿とは、一般的に朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を指します。一般的な人の排尿回数は大体5~6回程です。そのため、8回以上となると、頻尿の状態であると言えます。しかし、排尿回数は個人差があるため、8回以下であっても、頻尿の場合があります。もし、普段よりトイレに行く回数が多いなと感じていれば、それも頻尿と言えるのです。この頻尿の原因は、男性の場合、主に「過活動膀胱」と「前立腺肥大症」、「前立腺炎」が原因です。
過活動膀胱
- おしっこの回数が多い
- 不意におしっこがしたくなる
- トイレまで我慢出来ず漏らしてしまう
過活動膀胱とは、尿を溜めている臓器である膀胱に十分な尿が溜まっていないにも関わらず、膀胱が勝手に委縮してしまう病気のことです。本来、膀胱は尿が十分な量溜まることで委縮し排尿を促します。しかし、十分な尿が溜まっていない状態で膀胱が委縮してしまうことで、普段よりも早くに尿意を感じるようになって、その結果、排尿回数が増えてしまうのです。
この過活動膀胱の原因は、主に加齢によるものです。過活動膀胱は、年齢が上がれば上がるほど有病率が高くなります。40歳以上の8人に1人は過活動膀胱が見られるという調査報告があるほど、中高年以降に多い病気です。日本全国で見るとその患者数は800万人以上と言われています。
過活動膀胱は、頻尿以外に、「尿意切迫感(急におしっこがしたくなる)」、「切迫性尿失禁(トイレまで我慢出来ず尿を漏らしてしまう)」といった症状が見られます。
前立腺肥大症
- トイレの回数が多い
- おしっこをしても出し切った感じがしない
- おしっこの勢いがなく途切れる
- 出し切るのに時間がかかる
高齢男性に多い病気の前立腺肥大症も頻尿の症状を引き起こす原因です。前立腺肥大症とは、本来クルミの実ほどの大きさである前立腺が肥大化してしまう病気のことです。前立腺は、膀胱の真下に位置し、膀胱から伸びる尿道をぐるりと取り囲んでいます。そのため、前立腺が肥大化することで、尿道を圧迫してしまい、排尿トラブルが症状として現れます。
排尿トラブルは、「頻尿(排尿回数が多い)」以外に「残尿感(おしっこの後も、おしっこが出し切れていない感じがする)」「おしっこを出し切るのに時間がかかる」「尿に勢いがなく途中で途切れてしまう」といった症状が見られます。
前立腺肥大症は、現在のところはっきりとした原因は解明されていません。しかし、男性ホルモンが大きく関与していることは分かっています。そのため、前立腺肥大症は男性ホルモンの分泌量に変化が見られる高齢男性に多いという特徴があります。いずれにせよ、前立腺肥大症は、高齢になるほど発症率が上がり、60歳以上では2人に1人の割合で前立腺の肥大が認められています。
前立腺炎
- トイレの回数が多い
- おしっこの時に痛みがある
- 尿が出にくい
- 発熱
- 下腹部の痛みや違和感
過活動膀胱や前立腺肥大症は主に高齢男性に多い病気です。一方、前立腺炎は若い男性に多い病気です。前立腺炎とは、大腸菌や淋菌といった細菌の感染により前立腺が炎症を起こす病気です。尿路にあたる前立腺に炎症が起こることで、頻尿という尿路トラブルを引き起こします。頻尿以外には、「排尿時痛(おしっこをする時の痛み)」「排尿困難(尿が出にくい)」「発熱」「下腹部の痛みや違和感」といった症状が見られます。
前立腺炎は主に細菌感染による細菌性前立腺炎と細菌感染ではない非細菌性前立腺炎があります。細菌性前立腺の場合は、腸に存在する大腸菌やブドウ球菌などの細菌が誤って前立腺で増殖してしまう場合や、性行為で性感染症であるクラミジアや淋菌に感染して発症する場合があります。また、非細菌性前立腺炎の場合は、はっきりとした原因は解明されていませんが、細菌性前立腺炎同様に細菌に対する薬を服用することで治療を行うことが出来ます。
男性の頻尿症状の性病の可能性
40代以降の男性の場合は加齢による過活動膀胱や前立腺炎肥大症が原因となって頻尿の症状が出ている可能性があります。これらの病気は、加齢による影響が大きく、年を取るとともに発症するリスクが高まるため、40代以降の男性の場合は過活動膀胱や前立腺肥大症の可能性を疑ってみる必要があります。また、前立腺炎はクラミジアや淋菌といった性病感染が原因となる場合があるため、感染の疑いがある行為(風俗に行った、不特定多数の女性との関係を持った、知らない人と一夜限りの関係を持った、生でしてしまったなど)がある場合はクラミジアや淋菌などの性感染症による前立腺炎も疑ってみましょう。
若い10~30代の場合は、前立腺炎の可能性が高いです。30代の場合は過活動膀胱や前立腺肥大症の可能性もありますが、前立腺炎による頻尿の症状の可能性が高いと言えます。特に前立腺炎のその他の症状である「排尿時痛」や「発熱」「下腹部痛」などが見られる場合は前立腺炎を強く疑ってみましょう。また、クラミジアや淋菌感染は場合によっては症状がはっきりと出ない場合もあります。そのため、症状が弱いからといって安心は出来ません。性病感染の可能性がある行為をしてしまった場合は、少しでも早くに検査を受けておく方が良いでしょう。