尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマとはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで性器や肛門のまわりにイボが出来る病気です。性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス感染症に次いで報告数が多い性病です。平成26年度における報告数は5,687人ですが、実際の患者は全国に約4万人いると言われています。
尖圭コンジローマは報告数の男女比を見てみると約60%が男性で約40%が女性となっており、やや男性の方が多い傾向にあります。年齢別に見てみると20代から30代半ばに最も集中しているようです。ただ、女性は20代に集中している一方、男性は20代から40代まで割と幅が広い傾向にあります。
尖圭コンジローマの症状
尖圭コンジローマは感染後3週間から8カ月の長い潜伏期間を経てイボのようなものが出来る症状が現れます。
男女共通
- カリフラワー状のイボ
- 患部の痒みや痛み
尖圭コンジローマは性器周辺に薄いピンク色或いは白、褐色、黒色、茶黒のニワトリのトサカ状のイボが出来ます。このイボの色は様々で、大きさは直径1~3mm前後のものが多いと言われています。このイボは痒みや痛みを伴うこともあります。
女性
尖圭コンジローマに感染すると女性の場合は大小陰唇、膣前庭、会陰、尿道口、肛門のまわり、肛門内、膣、子宮頸部といった場所にカリフラワー状やおわんを伏せたような形のイボが出来ます。
男性
男性の場合は亀頭の先端部や冠状溝、包皮の内側・外側、陰嚢、会陰、尿道口、肛門の周り、肛門内などの場所に女性と同じようにニワトリのトサカ状(カリフラワー状)か乳頭状(おわんを伏せたような形)のイボが出来ます。色は様々で薄いピンク色、白色、茶色、黒色などがあります。
尖圭コンジローマの原因(感染経路)
ヒトパピローマウイルス(HPV)
尖圭コンジローマの原因はヒトパピローマウイルスです。別名ヒト乳頭腫ウイルスとも言われます。ヒトパピローマウイルスは100種類以上あり、そのうちの6型と11型などの一部が尖圭コンジローマを発症させます。ただ、ヒトパピローマウイルスに感染sたからと言って必ず尖圭コンジローマを発症させる訳ではありません。
あらゆる性行為
尖圭コンジローマの感染経路は主に性行為です。ヒトパピローマウイルスはあらゆる性行為によって感染者から他人に感染するため、セックス、オーラルセックス、オナルセックスなどあらゆる性行為が尖圭コンジローマの原因となります。
ヒトパピローマウイルスは性器だけではなく性器周辺にイボを作り、その病変部からウイルスが感染することがあるためコンドームを装着して性行為を行っても病変部を完全にカバーすることは出来ないためコンドームを付けていても予防は出来ません。病変部が接触することになれば感染するリスクがありますので、挿入行為だけでなくとも素股のような行為でも感染する可能性が多いにあります。
また、皮膚に炎症がある場合や傷口がある場合はそこからウイルスが侵入しやすくなるため、ヒトパピローマウイルスに感染しやすくなるため、皮膚のバリア機能が低下してしまっているときは特に感染の危険性が高まります。
尖圭コンジローマの検査
尖圭コンジローマの検査ではまず初めに視診が行われます。医師による視診である程度尖圭コンジローマかどうかを判断することが出来ます。尖圭コンジローマは性器周辺にイボが出来、外見から分かりやすい性病ですので、イボの見た目や広がり具合から尖圭コンジローマかどうかの判断を行います。
また、性器周辺に出来るイボは尖圭コンジローマ以外にもあるため診断を確実にするためにも組織検査が行われます。組織検査では、局所麻酔を行ってイボの一部を切り取り、切り取った組織を検査し尖圭コンジローマかどうかを判定します。
尖圭コンジローマの治療方法
外科的な治療
尖圭コンジローマの治療では凍結療法、電気焼灼、炭酸ガスレーザー蒸散、外科的切除といった方法によりイボを取り除く外科的な治療が主に行われます。外科的な方法でイボを取り除く治療は早期にイボを取り除くことが出来ることが出来ますが、痛みを伴ったり傷跡が残る可能性もあります。
薬による治療
尖圭コンジローマの治療は外科的な治療でイボを一つ一つ除去する治療が基本ですが、薬による治療方法もあります。2007年12月に発売されたヘセルナクリームという抗がん剤入りの軟膏をイボに直接塗って治療する方法です。この方法では痛みを伴わず傷跡を残さない一方、イボが取れるまでに長い時間かかることやイボを完全に取り切れないことが多いなどの問題点もあります。